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     心と身体の癒しを求める

天才Sの誤算(前編)

この物語に出てくる人物名・設定は架空のものですので、あしからず・・・・

ある時、一人の天才が完全犯罪を思いつく。
そのシカケは、かっての犯罪とは全く次元の違うもので、犯罪の革命である事を容易に想像させる程のシカケであった。
その天才こそ、「しゅしゅ」である。
「やはり、私は天才なんだ!」とあえて口に出し、
冷蔵庫からストロベリーアイスを取り出し食べながら、少し考えた。
しかし完全犯罪ゆえに、このシカケは決して世には出ることはないという事実が少し悲しかった。
そして、もう一つ問題があった。
しゅしゅには特に殺したい人間がいないのだ。

ターゲットを決めるまでに、実に半年もの時間がかかった。
ターゲットの名は「オオハシ カズヤ」。1ヶ月に1、2回ほどホームパーティーに誘われる事がある。
1年ほど前に知り合ったのだが、今思えば特に彼の何を知っている訳でもないほどの表面的な付き合いだった。
特に恨みわない、私のシカケの為に死んでもらう。

彼は私の訪問を快く受け入れ、部屋に招いてくれた。
そして遂に実行にうつる。完璧だった。


「わだつみ刑事こちらです。」部下と思われる男に案内されて部屋へ入っていく。
「被害者の名前はオオハシ カズヤ、この辺りにうつ伏せで亡くなっていました。」
「他には?」わだつみは辺りをキョロキョロしながら聞いている。
「外傷はなく、部屋が荒らされた形跡もありません。死因は今、鑑識が調べています」
ふーっと吐いた、わだつみの息は酒臭かった。
さらに、わだつみは部屋をキョロキョロ見て回り、ある物を見つけ足を止める。

「ああ、犯人はわかっているんだね?」後頭部の辺りをかいた。
「そうなんですよ、なんでこんなすぐにわかる殺しをしちゃったんですかね?」部下のほうも頭をかき、さらに「まさか、知らなかったとか?」と少しニヤリとした。
「・・まさかね。」わだつみもニヤリとした。

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天才Sの誤算(後編)

数日後、しゅしゅの自宅に2人の男が訪ねてきた。
わだつみは「こんばんわだー」と言いながら、警察手帳を見せた。
”こんばんわだー”というのは彼の口癖で、挨拶と自分の名前をもじったものだということは容易に想像できる。
しゅしゅは変なの来たよ、と思いながらも「やほー」と答えてみた。
わだつみは咳払いをし「ふざけてもらっては困りますな。」としゅしゅを凝視した。
そして背広の内ポケットから、何やら紙を取り出しひろげた。
「オオハシ カズヤ殺害の容疑で、あなたを逮捕します。」
しゅしゅは何も考えられなかった。”解るはずがない、解るはずがない”と署に連行される車の中で、同じ言葉だけが繰り返された。

取調室の椅子に座らされた。正面にはわだつみが座り、その右後ろに部下と思われる男が立っていた。
あと一人は部屋の隅でPCを操作している。
わだつみは何か資料に目を通しながら言った。「学歴、経歴などから見ても天才と思われる貴方が何故殺しを?動機は?」
「私は何も知らない、殺人なんて。」しゅしゅは平静を装って、ゆっくりしゃべった。
「本当に知らないのか?」人を小バカにしたような口調でしゃべる男に、
内心しゅしゅは怒りと同時に、しかしどうやってあのシカケが解かれたのかという興味の感情もあった。

私の思考を遮り、わだつみの声が入ってきた。「目撃者がいるんだよ。犯行手段も解ってるんだが。」後ろの刑事と共にニヤニヤとしている。
私の完璧なシカケの中に、そんな落ち度がある訳がない。
適当な容疑者を連れて来て自供へ誘導するなんていうのは、こいつらの得意技じゃないか。
現に、あの日の事を冷静に最初から思い出してみても目撃者などという綻びが起こる余地などない。完璧なシカケだ。

再び私の思考を遮り、わだつみの声が入ってきた。「本当に知らないようだ」後ろの部下と顔を見合わせ、首を小さく振った。そしてまた、しゅしゅを見た。
しゅしゅは、ゆっくり目を閉じ”天才の私に知らないものなど何もない”まず自分に言い聞かせた後、何度も何度も頭の中の記憶をフィルムの様にし、再生しては巻き戻した。さらにコマ送りにしたり、スローにしてみた。
その動作をしながら”他の人間が知っていて、私が知らない事”という言葉も繰り返していた。しかしミスなど見当たらない。

どれくらいの時間が経っただろうか?しゅしゅはハッと目を見開いた。
記憶の最後の方に・・・・水槽に入ったカメがいた。
「まさか!」しゅしゅは全てを悟った。
「そういうことです」わだつみは当然その答えに、しゅしゅが行き着くことを確信していたようだった。
「私の最大のミスはターゲットを見つけるのに半年もかかったことだ。」しゅしゅは肩を落とし、犯行を認めた。
しかし、まさか半年の間にそんな事を可能にする天才がいるとは。

その時しゅしゅは知らなかった。その天才こそ「オオハシ カズヤ」であったことを。


この物語に出てくる人物名・設定は架空のものですので、あしからず・・・

<あとがき>今この瞬間、世界にない物や情報、方式や学術的なものが、数時間後には世界の常識になるという現代世界をテーマに書いてみました。オオハシ カズヤは、いったい何を世界の常識にしたのでしょうか?

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T博士の決断(前編)

この物語に出てくる人物名・設定は架空のものですので、あしからず・・・

生物学者「つくよ」博士。この名前が世界中に知られたのは5年前のことだった。
5年前のある日、つくよ博士は「天狗」のミイラを発見した。
ありとあらゆる方向から、ありとあらゆる調査・分析がされ、「天狗」の存在が揺るがないものになった。
つくよ博士は、それにより未知生物に関しては世界的な権威をもつことになった。
しかし、その頃から世界各地で不可思議な失踪事件が頻発するようになった。
偶然と言えばそれまでだが、巷では「天狗」の仕業ではないのか?といった事が囁かれたりした。

2013年に入り、世界各地で豪雨による災害が頻繁に起こるようになった。
もうすぐ日本で行われる世界未知生物学会で、つくよ博士は新しい発表をすることになっていた。
降りしきる豪雨を窓から眺め、「これは何らかの警告かもしれない」
と調査・分析が終わっている確証のサンプルを見ていた。

数日後、つくよの元に1通の封書が届いた。
差出人は・・何と自分であった。
不思議に思いながらも封書を開けた。
中には1枚の便箋と1枚の小さなカードが入っていた。
便箋を開いてみると、

そこには”どうか決断を誤りませんように”という一文が書かれており、
下の方には”2008年8月5日・・・つくよ”と記されていた。
間違いなく自分の筆跡であった。

小さなカードの方には”未来宅配便”という文字と住所・電話番号が印刷されていた。
”ご利用有難うございました”という文字は手書きであった。

「未来宅配便」「5年前」「決断を誤るな」・・・重要と思われる単語を繰り返しながら記憶を辿ってみたが、思い出すことはできなかった。
連日、学会の資料作成などで非常に忙しくしていた「つくよ」博士は、急に極度な睡魔に襲われ、ふらつきながらベットに横たわった。

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T博士の決断(中編)

翌日、目を覚ました博士は何かを思い出したように飛び起き、机の上を見た。
そこには、昨日目にした封筒・便箋・カードがある。
「夢ではなかったのか」しばらく茫然としていたが、素早く着替えて、身支度をし、家を出た。
”未来宅配便”に行ってみようと考えた。
他に思いつく事がなかったのと、やはりじっとしてはいられなかったからだ。
車のナビを頼りに40分程、車を走らせた。目的地は、ある駅の繁華街の中にあるようだった。
博士は駅前のコインパーキングに車を停め、繁華街の方へと歩いて行った。
午前中とはいえ、陽射しが強く暑い日であった。

”未来宅配便”はそこにあった。
人目のつかない、ひっそりとした場所にあると勝手に思い込んでいた。
しかしそこは繁華街のど真ん中で、看板まで出ていて驚いた。
恐る恐る店内へ入った。

「ようこそ」入ると男が声を掛けてきた。
男はマンガの様な口ヒゲを生やしていた。ピエールの様なヒゲだ(わかりますかね;?)
「あのう」つくよは、昨日届いた封書を男に見せた。
男は受け取ると、目を通し「これはこれは、ご利用有難うございました」とヒゲを触った。
男は何かを察したらしく、さらに続けた。
「私たちは未来へ手紙や荷物を届ける仕事をしております。5年前、あなたもここに来られて、この手紙を未来のご自身に送られたという訳です」

「記憶がないのですが」つくよは困ったように尋ねた。
「私共がお預かりした物を処理し受理すると、きっかり1時間後に当方に関する記憶はなくなってしまうのです」男はさらに続けた。
「もちろん、つくよ様にも5年前・・ここを利用するにあたって説明をし、ご了承を得た書面も頂いておりますが、その記憶もなくなってしまうという訳です」再びヒゲを触った。

「本日、当方をご利用でしょうか?」
「いいえ」つくよは大きく早く首を横に振った。
「そうですか、ご利用されないのなら、本日の記憶はなくなりません。いつでもどうぞ」男はニコリとした。


この物語に出てくる人物名・設定は架空のものですので、あしからず・・・

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T博士の決断(後編)

つくよは”未来宅配便”の玄関を出て、コインパーキングに向かい車に乗り込んだ。
ほんの少しの時間の駐車であったが、車内はかなり暑かった。
急いでエンジンをかけエアコンを操作した。
そして自宅へ向け、ゆっくりと車を走らせ始めた。
車内では、5年前の自分が何を言いたかったのかを考えていた。

自宅の駐車場に車を停め、自室へと向かった。
つくよは昨日までに作成した資料をシュレッダーにかけ、もう一度資料を作り直す作業を始めた。
学会開催の2週間前のことであった。

世界未知生物学会の当日午後6時30分、会場は世界の著名な学者達、新聞社やマスコミ等で一杯となっていた。
今日の「つくよ」博士の発表は、新たな未知生物の存在の発表で、それがまた伝説とされてきた”あの”生き物のことであろうと誰もが確信をもっていた。
現に新聞やニュースの原稿の内容は決まっており、あとは会場で博士の言葉を確認するだけとなっているほどであった。

しかし学会が始まって10数分後、博士は”あの生き物”の存在を完全否定したのだ。会場はどよめき、ざわついた。
新聞社やマスコミの者は我先にと走り、次々と会場を出ていった。新聞やニュースの原稿を書き直す為だ。
著名な学者達も顔を見合わせあって、驚きの表情を浮かべていた。
しかし”世界的権威の言葉”という絶大な力により、その事実を誰もが納得せざるを得なかった。

つくよ博士が静かになった会場を後にし、自宅に戻ったのは午後8時30を少し回った頃だった。
自宅の玄関のカギを開けようとした時、背後に何者かの気配を感じた。振り返った博士と何者かの目が合った。
つくよの頭の中で声がした”よく決断されました”と。
その何者かが差し出してきた手は深い緑色で、指の間には大きなヒレのようなものがあった。

自室に入りベットに横になった。つくよは5年前の自分が何を言いたかったのか解ったような気がした。
「決断」というのは十分に思慮したうえに行うものだが、失敗であったり・不安であったり・後悔するようなことも、もちろんある。
今の自分も昨日の「決断」に少なからずそういう思いがあった。未来に託したい気持ち・・・・か。


その翌日つくよは”未来宅配便”の前にいた。
しかし、つくよは店には入らず、店に背を向け歩き始めた。

つくよは心の中で呟いた「どんな決断をしようが人はそれを受け止め、乗り越えられる強い生物だ」と。


この物語に出てくる人物名・設定は架空のものですので、あしからず・・・

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